緑化を通じて持続可能な社会の発展を目指す
本研究所は,SDGs(持続可能な開発目標)や良質なQOL,豊かなWell-beingの実現を目指して,それらを支える基盤技術に関する研究・開発を推進します。これらのミッションは、SDGsの目標とも深く関連していきます。また,ナチュラル・オーガニック・ハイドロカルチャーの基幹技術である有機肥料,ナノバブル,菌根菌,センシング,混合培地等に関する研究・開発については,様々な関連企業・機関との連携により実施します。
地球温暖化が予測以上に加速し気候変動による様々な弊害・災害が多発しており,また2019年末から始まった出口の見えない未曽有のコロナ禍で,既存の社会・経済システムやライフスタイルが大きく変容し,パラダイムシフト,SDGs,脱炭素社会,DX化,新しいグローバル化,ニューノーマル,メンタルヘルス,Well-beingの推進などがこれまで以上に強く求められています。
ビジネスの創出・共創,BCP・レジリエンスの構築,健康経営,IoTによる経営効率の向上,良質なQOLの提供などを目指す必要があります。また,BetterまたはBestな技術の希求だけではなく,さらに一歩踏みだしてOnly one技術の創出と展開,産学官連携,海外拠点の設立・新しい展開も必要です。
本研究所は,株式会社プラネットの理念を踏襲しながら,持続可能な社会の発展を目指します。
新しい時代にも柔軟に対応できる組織として,研究推進の中核メンバーは、専門知識・経験が豊富でチャレンジ精神に溢れた若手社員を中心に編成しています。また,組織のまとめ役として工学・農学分野などの学術経験者や他分野の実務経験者を加えた体制として,風通しのよいオープンな雰囲気の研究所を目指します。
「バイオフィリア」とは,人間や動物の遺伝子 の中に自然界の一部を先天的に「好む」性質や行動特性があり,それが発現しているのではないかという仮説です。「森林浴」はその一例で,目にやさしい緑,清々しい木々の香り,柔らかな木漏れ日,小川のせせらぎや小鳥のさえずりなど,適度な五感への刺激により至福の時間・空間を享受することができます。本研究部門では,視覚,聴覚,嗅覚などの五感を刺激し,グリーンアメニティ効果(癒し,空気浄化,メンタルストレスの軽減など)を高め,健康的で作業効率の高いワークプレイスを実現するためにバイオフィリアに基づく室内緑化(バイオフィリア緑化)に関わる様々な要素技術・デザイン手法・評価法などの研究・開発を行います。
現代農業では化学肥料や農薬の過剰散布により、様々な環境問題が起きています。プラネットでは自然に優しい持続可能な循環型ナチュラルオーガニックハイドロカルチャーを目指しています。化学肥料と農薬を使用せず、その代わりに、菌根菌をはじめ、様々な有益微生物及び100%植物由来の自社製有機肥料で、健全な植物を栽培する技術を研究・開発しています。
※「ナチュラルオーガニックハイドロカルチャー」は株式会社プラネットの登録商標です。
私たちは一日の生活の8割以上を屋内で過ごしており,その傾向は新型コロナ禍によるステイホームで益々顕著になって,室内空気環境の質が極めて重要になっています。当社は,観葉植物のもつ空気浄化能力と植物オイルのもつ殺菌・抗菌・消臭機能に着目した観葉植物と植物オイルを用いた新しい空気清浄システム(特願2021-030571)を開発しました。本システムはハイドロ植物用の培地と植物由来のエッセンシャルオイルを用いることで初めて可能になった空気清浄システムで,換気量削減による省エネルギーにもつながるシステムです。
本研究部門では,この空気浄化システムの基本性能(植物種別空気浄化性能,植物オイルの拡散性状・特性,最適設計法など)をチャンバー実験,実空間での実証試験,CFD解析などで検証するとともに,本システムの改良や応用に関する研究・開発を行っていきます。
ミニバラを主とした鉢物用バラの室内装飾への利用・普及を目指し、その技術開発を図ることを目的としています。
・適正品種の選定:材料には、開花連続性(四季咲き性)があり、耐病害虫性のある作りやすい丈夫な品種を用います。
・栽培方法の確立:室内でバラを生育するために必要な温湿度などの室内環境、光源として使用するLEDランプの照射位置、照射時間、施肥方法、病害虫対策などを確立します。
・植物栽培初心者でもミニバラが育てられるよう栽培方法をマニュアル化し、MDBSによって栽培フォローができるシステムづくりを目指します。
・生理・心理的評価:デスクに植物を置き、見たり・使ったりすることで得られる生理・心理的効果を確認します。
これまで太陽光利用型や人工光型植物工場における最適な環境設計(温度・湿度・CO2・光量)や、肥培管理方法(給液方法・肥料調整方法等)など、さまざまな研究開発を行ってきています。特に,小型の植物工場の開発に力を入れています。飲食店からオフィスまでさまざまな分野をターゲットとし、それぞれのニーズに合った商品を模索しています。その中で、オフィスをターゲットとした小型植物工場は、物理的な環境改善(湿度調節・CO2吸収・VOCの吸着等)やオフィスワーカーのメンタルヘルスの改善効果など働く環境をより良くする商品として新たな市場開拓が期待され、開発に取り組んでいます。また、現在は障がい者雇用支援事業を展開される企業様へのサテライト型の植物工場の導入にも力を入れています。
グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方で,平成27年度に閣議決定された国土形成計画、第4次社会資本整備重点計画では、「国土の適切な管理」「安全・安心で持続可能な国土」「人口減少・高齢化等に対応した持続可能な地域社会の形成」といった課題への対応の一つとして、グリーンインフラの取組を推進することが盛り込まれました。道路,公園,空き地などにおけるプラネットソイルの利用による雨水貯留技術,雨水の有効利用による屋上緑化,壁面緑化に関する要素技術の開発やその実証を行います。
観葉植物には癒し、ストレスの緩和、生産性の向上、調湿効果、空気の浄化、植物オイルの抗ウイルス性などの「グリーンアメニティ効果」という優れた特長があります。最近、多くの研究者により科学的アプローチによりグリーンアメニティ効果のメカニズムが明らかにされ、定量化が進み、多くの新しい知見やエビデンスが蓄積されつつあります。
2021年8月に国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で発表された衝撃的な第6次報告書では、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことは疑う余地がない」と温暖化が人為起源であると断定しています。この地球温暖化対策には、省エネルギーなどによるCO2排出の抑制、機器の効率化、炭素固定化などの先端的技術の推進だけでなく、人間が本来もっている「バイオフィリア」を起源とする植物のもつ力を利用した人と環境にやさしい技術(バイオフィリア緑化)が極めて重要で不可欠だと思います。この分野は都市空間・室内空間におけるグリーンアメニティ効果に加えて、グリーンインフラにおける雨水の制御とその利用、ヒートアイランド現象の緩和による都市の再生、CO2吸収による地球温暖化の抑制などの「グリーンリカバリー」として、極めて重要な分野になるものと確信しています。
今後、当研究所はバイオフィリア緑化分野に関わる国内外の大学や企業とも連携して、新しいグリーンビジネスを支えるシステムや要素技術の研究開発を推進していく所存です。よろしくお願い申し上げます。
所長:松本 博
副所長:上田 善弘
三位 正洋
彦坂 昌敏
秋山 礼子
渡邉 亮介
扈 佳勛
林 若那
荒木 辰誠
ナチュラルオーガニックハイドロカルチャー、室内緑化、植物工場、室内環境モニタリングシステムの設計・構築・分析、グリーンインフラ関連技術、バイオフィリックデザイン、その他緑化に関連する技術開発・設計・管理・評価、試験、調査の依頼をお受けしております。お気軽にご相談ください。
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